人間一人ひとりが氏名、国籍、性別、職業が違うように不動産にもそれぞれ一件一件の特性があり、どれ一つとして同じ不動産はありません。
借地権付建物も外部の第三者から見たら、その土地が所有権か、借地権か分かりません。
弊社のある都内城北エリアの板橋区は古い住宅地でもあり、借地の家が数多くあります。借地権付住宅が多いということはそれだけ地主さんも多いということになります。
このような背景から、借地人さんや、地主さんからの不動産に関係する相談も当然、数多くなってきます。
今回は、借地人さんと地主さんの同時売却のケースをご紹介します。
弊社からご提案して、借地人・地主さんにより高く売却できたと喜ばれているのが『借地・底地の同時売却』 の方法です。
【借地人:Aさん】(借地権付建物所有者)
- 昭和初期に建築した自然発生型借地権付建物を親から相続。増改築済み
- 建物を建替えるには建築工事費意外に地主さんへ立替承諾料を支払わなければならない
- 住宅ローンを借りて立替するには、収入、年齢等不安があり無理したくない
【地主:Bさん】(借地権負担付土地所有者)
- 先祖代々続いている地主さんで、親から相続した貸宅地を保有している
- 毎月の地代はせいぜい月極駐車場一台分程度の金額
借地人さんも地主さんも親から相続しており、借地契約も20~30年と長期間になっているため、お互いの顔も良く知らない、というケースもあります。
「借地のコンサルティング手法」としては以下の方法があります。
1.借地権を譲渡する方法
- 地主さんからの譲渡承諾が必要
- 購入者が銀行ローンを利用する際、地主さんの 「抵当権設定承諾書」 が必要
- 地主さんとの交渉、理解、協力が必要となります。
2.地主さんに借地権を買取りしてもらう方法
3.借地人が地主さんから底地を買取る方法
※ 2、3は借地人・地主さんの利害関係が相反するため簡単にはいかない場合が多い
4.借地人と地主が土地を一定比率で分割する方法
- 用途地域による 「敷地面積の最低限度」 があるので要注意
- 地形によって交換比率等の話合いと合意が必要
5.借地人と地主の共同事業 (ビル、マンション等を建設する方法)
※借地人、地主さんの相互信頼、人間関係等が重要なポイントとなる。
6.借地人と地主さんが同時売却する方法
- 協議の上 『借地・底地同時売却合意書』 を締結する。
- 売却代金の配分比率を予め決めておく。
- 諸費用の負担割合を決めておく。
- 借地人の費用負担で建物を解体撤去する。
- 瑕疵担保責任の範囲を決めておく。
※同時売却の話が頓挫しないために、借地人・地主さんの相互意思確認、相互配分割合、諸費用負担割合、違約条項等を明確にしておき書面化しておくことが重要です。
借地人さんも、地主さんも親から相続した大切な財産です。
ともすると、双方の利害関係が相反するので感情が先走りトラブルになったりするケースもあります。
借地・底地を同時売却する方法は、借地権付建物を単独で売却するより、借地権負担付土地(底地)を単独で売却するより、借地人、地主さん双方にとってメリットの多い方法です。
借地、底地の同時売却の際には、諸条件を良く協議してその内容を記載した『借地・底地 同時売却合意書』をしっかりと取交わしておくことをお奨め致します。