不動産投資を計画している方々にとって一番関心の高いのが「利回り計算」です。投下資本に対して収益が多い方がいいことは当然です。しかし、高利回り物件だけを追及しすぎると思わぬ落とし穴に落ちる可能性もあります。「利回り計算」を一つのバロメーターにしながら、購入物件を決定する際には様々な角度から分析・検証することをお薦めいたします。
一口で「利回り計算」と言っても様々な計算方法があります。毎月の賃貸収入を年間所得として計上し、購入価格等の投資資金で割り算して「利回り計算」します。年間の収入所得=インカムゲインの数値を求める算出方法ということになります。
- 購入価格:7,500万円
- 賃料65,000円(1K×8室)
- 管理費2,000円
- 自己資金:2,000万円
- 銀行ローン借入:5,500万円(借入金利年2.5%・返済期間15年)
- 空室率10%
- ランニングコスト:15%(固定資産税・管理委託料・建物修繕費等々・・・)
年間賃料収入÷購入価格=表面利回り
- 購入価格:75,000,000円
- 賃料:65,000円
- 管理費:2,000円
{(B+C)×8室}×12ヵ月=6,432,000円
6,432,000円÷A=0.08576×100
=8.57%の利回り
※建築中の場合、あるいは空室が2室の場合、賃料65,000円、管理費2,000円で募集をしても入居者からの賃料値下げ交渉があって5,000円を値引きした場合には表面利回りは下がることとなります。あくまでも募集条件のまま賃貸借契約が締結できたと想定した場合の表面利回り計算方法です。
年間賃料÷購入価格=想定表面利回り(予想利回り)
- 購入価格:75,000,000円
- 賃料:65,000円
- 管理費:2,000円
{(B+C)×8室}×12ヶ月=6,432,000円
6,432,000円÷A=0.08576×100
=8.57%の利回り
年間賃料収入6,432,000円×10%(空室率を10%と仮定)=643,200円
※空室率は物件種類・立地条件・テナント・入居者・建物グレード等々により異なります。
ランニングコスト
6,432,000円×15%=964,800円
建物修繕費・管理会社への管理委託料・固定資産税・火災保険料1ヶ年分等々の年間諸経費を15%計上
- 購入価格:75,000,000円
- 年間賃料収入:6,432,000円
- 空室率:643,200円
- ランニングコスト:964,800円
{年間賃料収入ー(ランニングコスト+空室率)}÷購入価格=実質利回り
{Bー(C+D)}÷A=0.06432×100
=6.43%の利回り
銀行借り入れは元利均等方式で、借入期間中変動しないものとします。
- 購入価格:75,000,000円
- 年間賃料収入:6,432,000円
- 空室率:643,200円
- ランニングコスト:964,800円
- 年間借入返済額:4,400,820円
{年間賃料収入ー(ランニングコスト+空室率+年間借入金返済額)}÷購入価格=借入金返済後利回り
{B-(C+D+E)}÷A=0.00564×100
=5.6%の利回り
{年間賃料収入ー(ランニングコスト+空室率+年間借入返済額)}÷投下自己資金=自己資金利回り
- 購入価格:75,000,000円
- 年間賃料収入:6,432,000円
- 空室率:643,200円
- ランニングコスト:964,800円
- 年間借入返済額:4,400,820円
- 投下自己資金:20,000,000円
{B-(C+D+E)}÷F=0.02119×100
=2.11%の利回り
以上の「利回り計算」方法から、投資物件を購入する際にはあくまでも自分の投資環境をよく把握して、利回り計算だけにとらわれることなく、投資物件の選別をするのが良いでしょう。いくら利回りがよくても資産価値が低かったり、不動産価値が低かったり、安全性が低かったり、流動性が低い物件を購入してしまったら後悔することになります。